memoirs
 「Hugeに繋がる情景」と題し、Hugeにまつわるエピソードを彼の言葉を織り交ぜながら少しずつスケッチしていきたいと思います。
 Scenes linked to Huge -track10-■solar eclipse(日蝕)Part2

「日蝕の映像にBGMはつきますか?」
パソコンを始めて二ヶ月、私が生まれて初めて送信したメールです。

Hugeは新曲ができると、CDに焼き、まめに実家に送ってくれていました。
『パソコン始めたら?リアルタイムで聴けるよ』とHugeは常々言っておりました。
私が意を決してパソコン教室の体験コースを受講するのはHugeが他界する一ヶ月前のことでした。

終わりのない悲嘆の闇の中でHugeのオリジナルタイトル「solar eclipse」とキーを叩きました。
ディスプレーに現われたのは天文中継チームLIVE!UNIVERSEのホームページ。南極皆既日蝕をインターネット中継する告知でした。

私は無我夢中で冒頭のメールを送信していたのでした。

数日後、「その予定はありません」との返信メールが届きます。
私は「音源だけでも是非お聴きいただきたい。」と♪solar eclipseを収録したMDを不躾にも、「LIVE!UNIVERSE」会長である尾久土正己和歌山大学教授に送っていました。


中継前日の2003年11月23日。尾久土教授は和歌山から中継地お台場への途中、わざわざ拙宅にお立ち寄り下さり、Hugeへの焼香までして下さいました。

そして、家族は翌朝、始発電車に乗り込んだのです。


Hugeの学友有志が、CD、MD、テープ、その他特別な機器でしか読み込めないデータを手分けして整理、分類してくれていました。Hugeと同じ時を過ごし、同じ志を持った彼らでなければ為し得なかった根気の要るとても大変な作業だったと推察します。アルファベット順に並べられた曲目インデックス、あの楽曲リストなしには♪solar eclipseという曲に私が出会うことはなかったし、♪solar eclipseをBGMに南極日蝕を体験することもできなかったでしょう。
2006.03.30.
Scenes linked to Huge -track9-■solar eclipse(日蝕)Part1

夜が明けきらない初冬。
一家は総出で始発電車に乗り込みました。振替休日ということもあり一両編成の電車は貸切。
私たちは遠足気分ではしゃいでいます。車輌内はまだ暖房が効いておらず、吐き出す息も白く、互いを見合っては笑う4人の顔はこわばっています。

03.11.24.(月)。
天文中継チーム「LIVE!UNIVERSE」が主催するLIVE!ECLIPSE2003(project ANTARCTICA)、南極皆既日蝕インターネット中継当日。Hugeの曲が世界中に配信される朝でした。「LIVE!UNIVERSE」が♪solar eclipse(日蝕)をテーマ曲に採用してくれていました。

我が家の旧式PCでは動画を見ることができないため、お言葉に甘えて、隣り町に住む友人、青木さん宅に早朝から押し掛けたのでした。青木さんご夫婦はHuge音楽の良き理解者であり、彼の成長を見守ってくれていました。

6:50 放送開始。
進行役の尾久土正己教授やゲストの皆さんの日蝕に関する解説の後、7:20 ♪solar eclipseの秒を刻むクロック音がスピーカーから流れ出しました。息を殺し、耳を澄まし、ただただじっとディスプレーを食い入るように見つめていました。

7:30 一瞬にして暗闇に。
月が太陽を覆い隱した瞬間でした。現地にいる市川雄一カメラマンは「白夜のはずが真っ暗になり、慌てふためいて海に飛び込むペンギンたちもいた」と実況しました。その間、BGM♪solar eclipseは流れています。しばらくして、ディスプレーは少しずつ明るくなっていく南極の風景を映し出しています。微かに氷山が見えてきました。


Hugeの曲について「空間の拡がり」という言葉を耳にします。
『音が綺麗すぎるとよく言われるけど、空気に一切触れていないから真空の音なんだよ』とHuge。
ヘッドフォンの中の宇宙空間に無限に拡がり続ける「音」を産み出そうとしていたのでしょうか。

中継終了後、青木さん一家はHugeの「デヴュー」をシャンパンで祝ってくれました。「おめでとう!」

私は運動会の保護者席からやっと開放されたのでした。
2006.03.18.
Scenes linked to Huge -track8-■2002.July.at Huge Studio(≧▽≦)

学友たちが発掘してくれたHugeライブラリーには、CDに収録され世に出たリミックス作品や仕事上の所謂、「ボツ」作品たちに混じり、「遊び」で創られた小品も数多くあります。

2歳下の妹が高校1年生の時、作詞作曲という音楽の課題を深夜までかかってやっとのことで仕上げました。翌朝、彼女の作った♪I still love youは歌入れを待つばかりの状態にアレンジされていたのでした。目覚めた妹に、『まいど!アレンジ料100万円也』とHugeニコリ。「頼んでもいないのに」と妹。その後、この曲のリミックスまでも創っています。頼んでもいないのに。

もう一人6歳離れた妹がいます。彼女のオムツも替えました。その妹が中学3年生の時、SMAPの♪BEST FRIENDを文化祭で歌うことに。しかしカラオケがありません。兄に相談すると即、アレンジとカラオケが入ったCDを送ってくれました。それには近況報告とピアノ(ギター)の演奏マニュアルが書かれたメモも同封されていました。



『 2002.July.at Huge Studio(≧▽≦)

お久しぶりです。家族の皆さん、お元気でしょうか?

(中略)

早速ですが…
BEST FRIEND[Huge 2002 Version]作りましたのでお送りします。
ドラムとベースだけだとおそらくピアノ(ギター)が浮いて聴こえるだろうから
すべてアレンジしておきました。ピアノパートは譜面のコードを参照しながら
簡単な白玉(全音符など)を弾く方が歌うのに集中できていいと思いマス。
もしギターも弾くなら間奏のみ弾くのをすすめます(理由はピアノと同じ)。
※メロディー有り、カラオケ共に収録。

あとHuge feat.FA久々の新曲、
「RUN AWAY」「Fairy tAle」「according to your lights」
を収録しました。
その他オリジナル曲・リミックス曲もあわせて収録したので聴いてみてね!
今年は更に忙しい年になりそうだ…(汗)。

それではまた。 』
2006.03.10.
Scenes linked to Huge -track7-■至福のとき

デジタル音楽との運命的な出会いがおとずれます。
掌に収まるほど小さなシーケンサ、ヤマハQY20。叔母からの贈り物でした。とてつもなく魅力的な玩具となりました。Hugeは簡単なトラックを制作していきます。当初、友人たちの似顔絵に添えるテーマ音楽を面白半分に創っていました。そして、いつしかそのテーマを真剣に磨いていきます。

ピアノを弾き始めたのもその頃。独学で指使いもハチャメチャ。打楽器のように弾き、音圧が強く、まるで地響きのようでした。私にはその巧拙は分かりませんでしたが、傍らで聴いているのが楽しみでした。ご近所への迷惑を考え、練習は午後8時までとしました。ご近所に恵まれました。この場を借り、お詫びとお礼を申し上げたいと思います。

高校入学後は「音」へのこだわりはますますエスカレートしていきます。本人曰く、『QY20は120%使いこなした』
いよいよQY300に。機材購入のためアルバイトを始めます。学校帰りに制服を脱ぎ、夕方6時から夜10時までコンビニエンスストア。数ヶ月後、やっとのことで手に入れたQY300。まさにその日から作曲だけでなくアレンジの楽しさを満喫していくのでした。

アルバイトから帰宅後の夜が明けるまでが至福の時間、Hugeの創作活動の時間帯でした。
では、睡眠時間は?「授業妨害一切なし!」という意味では、「優等生」でした。

2006.03.03.
Scenes linked to Huge -track6-■午前2時の恐怖

午前2時。恐怖の時刻でした。
階上より降りてくる足音、ヒタヒタ・・・。家族の就寝時間を毎晩のように狙っていました。

右手には一本のカセットテープが握られています。嬉々としてテープレコーダーに突進していきます。
ガチャ!スピーカーから流れてくる出来たてホヤホヤの彼の新曲を睡魔と闘いながら聴き入る私たち。曲が終わる。ほっとする家族。が、その瞬間、すぅーっと右手が動き「停止」、「巻き戻し」、「再生」。それは毎晩のように繰り返される一連のコースでした。
『で、どうよ、この曲、セツナイしょ?』と14歳になる少年は破顔一笑。

このため、家族は慢性の睡眠不足に陥っていたのでした。

2006.02.24.
Scenes linked to Huge -track5-■Fairy tAle

浜崎あゆみさんの「Hugeリミックス」を好んで聴いて下さっている方々がいます。中でも♪I am...が一番!とコメントして下さる方が多くいらっしゃいます。稀少な?且つ熱烈なHugeマニアだけでなく、あゆファンもいらっしゃるということでとても嬉しく思っています。

その♪I am...のリミックス制作秘話。

オファーがあり、制作中、どうしても使いたい生楽器音が出てきました。納期が迫っていました。学友に相談したところその友人は奔走し、即日、サンプリングして持参してくれたそうです。Hugeは友人のイニシャルをそっと作品名に忍ばせました。そうすることで、友人への感謝の気持ちと友情を表したのでした。

-track2-で書かせていただいた「教授をうならせたソプラノボイスの持ち主」F.A.君は大学祭などでHugeと数曲コラボレートしています。04年末のコンサートでは、Hugeオリジナル曲♪RUN AWAYを披露してくれました。

♪I am.../Huge Fairy tAle mixは[Daybreak]に収録されました。

2006.02.17.
Scenes linked to Huge -track4-■似顔絵とテーマソング

Hugeが本格的に作曲家を志したのは14歳の夏。それまでは絵を描くことが好きで、殊に周りにいる人々の似顔絵を描いていました。非情なまでのデフォルメタッチで。高じて、その似顔絵に「テーマ曲」を添付していくことになります。

4小節という短いフレーズでしたが、ピアニカで楽しそうに吹きまくっていました。
そしてシーケンサ(QY20)との出会いが訪れます。それからと言うもの、文字通り、「ウチコミ」人生が始まるのでした。似顔絵に添えられるテーマ曲は日に日に重厚感?を増していったのでした。

まず最初に「エジキ」になったのは幼馴染。彼らは様々なバージョンで録音されたテープが執拗に送りつけられ閉口していました。

父親は誕生日プレゼント」と称して♪papa40に始まり♪papa47まで毎年受け取るはめに。それも無情にも禿あがっていく似顔絵付きで。

2006.02.11.
Scenes linked to Huge -track3-■5.1chサラウンド

Huge、ヘッドフォンをしたまま何時間も聴き入っています。心配した私が「耳をだめにしちゃうよ」と忠告しても、『大丈夫!耳が聞こえなくなっても波形さえ見えれば曲は作れるから』
幼い頃から軽度の難聴でした。周波数難聴という病気があるようですが、デジタル音を聴き分ける不思議な聴力があったのでしょうか。

最後の仕事は2chで録音されていたEvery Little Thingのリミックス曲を5.1chに編集し直す作業でした。2chステレオでの空間演出がそれまでのテーマだったことを考え合わせると、きっとHugeは新たな音の世界への第一歩を踏み入れたと感じていたのかもしれません。

2004年2月8日 日曜日。
東京FM放送局が特別企画5.1chサラウンド番組のエンディングテーマとしてHugeオリジナル♪SUNDAY MORNING を使用しました。生前、5.1chに変換可能な状態にして、畏友TEO君にデータを預けてあった作品です。TEO君の手により5.1chに編集され、オンエアされたのでした。

後日、東京FM放送局川島修技術部長は専門誌の中で「新しい時代の幕開けを感じさせる未来的なイメージ」と紹介して下さいました。

2006.02.04.
Scenes linked to Huge -track2-■謙虚と貪欲

『トランスの達人に会ったよ』
『テクノの師匠がいるんだ』
『彼は教授をうならせたソプラノボイスの持ち主なんだ』
『R&Bの凄腕だよ』
『2-STEPの理論を教えてもらったんだ』などなど、大学で知り合った学友たちのことを電話の向こうで嬉しそうに私たちに報告してくれていました。

自分にはない才能を持っている人たちに対し、素直に「師」と仰ぐ謙虚さと、その畏友たちからいろいろなものを吸収しようとする貪欲さも持ち合せていたのでした。Hugeという一人の若者をそしてHugeという音楽を大きく成長させてくれたのは他でもない彼ら友人たちでした。

2006.02.01.
Scenes linked to Huge -track1-■勝つか!負けるか!

自分のオリジナル曲ならまだしも、仕事上のリミックス作品の中に自分のメッセージを入れるのは至難の業。が、Hugeは、リミックスタイトルや作品中に数々の「いたずら」を仕掛けています。

奇しくも、自身の誕生日が浜崎さんと同じ10月2日であることもあり、リミックスタイトルを「20011002」とし、ふたりの誕生日を祝いました。同時に厳しい音楽業界での生き残りの誓いと、20歳の決意を込め、「勝つか!負けるか!」と浜崎さんの歌声に託しました。

♪Dearest/Huge`20011002'mixがそれです。

2006.01.15.
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