track22■翼のあるオーディエンス

『ねぇ、何かいるんだけど。屋根裏』
そう言われてHUGE.STUDIO(Hugeの実家での仕事部屋兼寝室)に足を踏み入れると、確かに屋根裏で不気味な物音。それも大胆不敵な音。コソコソしていません。
ネズミ?巨大蜘蛛?スズメバチ?耳を澄ますと聞えてきました。パタパタと這う音。どうやら翼をもっているらしい。鳩?猛禽類?
一匹ではありません。でも鳴き声はしません。

ある日の夕刻。赤く染まる窓に影が映りました。鳥類ではない不規則な飛翔パターン。その影たちが次々と我が家の雨戸の戸袋に侵入していきます。
一体何者?

闖入者の正体がわかりました。
天井から頭を下にして、悠長に宙吊りになっています。目が合いました。図鑑では見たことがありました。私は臆せず果敢に宣戦布告。(「イキモノ」に強いのは我が家では何故か私)釣り用の網を利用し、ついに捕獲。アンド・リリース。

HUGE.STUDIOはいつしか「ドラキュラ伯爵の館」と化していたのです。
一体何故?

真相はHuge愛用のシンセサイザーにありました。人間の耳には聞えない周波数をもつデジタル音に誘われ、彼らは群れをなして屋根裏に集っていたのです。

日毎にHugeの「オーディエンス」は増えていきます。十数匹(羽)?私は蝙蝠(コウモリ)の数え方を知りません。
退治もせず、当り障りのない付き合いが続きます。

「今日も大入りだね」と私。
さすがに餌付けはしませんが、「蝙蝠使い」となったHuge。パタパタ。パタパタ。彼らは屋根裏で踊っています。薄気味悪いけど楽しい。

しかし、残念ながら?Hugeが進学で家を出る時期を境に彼らの姿も消えました。


「そっちに、行った?」
『まさか!!』

どうやら蝙蝠にはワタリの習性はなかったようです。

 

▶ENGLISH:The Intruders (Audience with wings)

2006年06月02日