track9■solar eclipse(日蝕)Part1

夜が明けきらない初冬。
一家は総出で始発電車に乗り込みました。振替休日ということもあり一両編成の電車は貸切。
私たちは遠足気分ではしゃいでいます。車輌内はまだ暖房が効いておらず、吐き出す息も白く、互いを見合っては笑う4人の顔はこわばっています。

03.11.24.(月)。
天文中継チーム「LIVE!UNIVERSE」が主催するLIVE!ECLIPSE2003(project ANTARCTICA)、南極皆既日蝕インターネット中継当日。Hugeの曲が世界中に配信される朝でした。「LIVE!UNIVERSE」が♪solar eclipse(日蝕)をテーマ曲に採用してくれていました。

我が家の旧式PCでは動画を見ることができないため、お言葉に甘えて、隣り町に住む友人、青木さん宅に早朝から押し掛けたのでした。青木さんご夫婦はHuge音楽の良き理解者であり、彼の成長を見守ってくれていました。

6:50 放送開始。
進行役の尾久土正己教授やゲストの皆さんの日蝕に関する解説の後、7:20 ♪solar eclipseの秒を刻むクロック音がスピーカーから流れ出しました。息を殺し、耳を澄まし、ただただじっとディスプレーを食い入るように見つめていました。

7:30 一瞬にして暗闇に。
月が太陽を覆い隱した瞬間でした。現地にいる市川雄一カメラマンは「白夜のはずが真っ暗になり、慌てふためいて海に飛び込むペンギンたちもいた」と実況しました。その間、BGM♪solar eclipseは流れています。しばらくして、ディスプレーは少しずつ明るくなっていく南極の風景を映し出しています。微かに氷山が見えてきました。


Hugeの曲について「空間の拡がり」という言葉を耳にします。
『音が綺麗すぎるとよく言われるけど、空気に一切触れていないから真空の音なんだよ』とHuge。
ヘッドフォンの中の宇宙空間に無限に拡がり続ける「音」を産み出そうとしていたのでしょうか。

中継終了後、青木さん一家はHugeの「デヴュー」をシャンパンで祝ってくれました。「おめでとう!」

私は運動会の保護者席からやっと開放されたのでした。

 

LIVE!ECLIPSE2003(project ANTARCTICA)、南極皆既日蝕インターネット中継

2006年03月18日