伝い歩きもまだ覚束ない0歳Huge。
ターンテーブルの上で黒く光りながら回転するレコード盤に興味深々です。ふっくらとした小さな手が伸びました。
「ザクッ」凄まじいスクラッチ音。お宝レコードは深いキズを負います。
焦る父親。
傍らで小さなDJはゴキゲン。
進学を機に故郷を離れる際、Hugeは数枚のオリジナルCDを作成し家族に残していきます。今度は父親が不注意からその一枚にキズをつけ再生不能に。
焦る父親。
CDはその後、本棚の片隅で三年という時を過ごすことになります。
父親は「秘密」を家族に打ち明けました。「別に隠しておくつもりはなかった」そうです。
しばらくして、Hugeの叔父はその見るも無残なCDを手に取り、「ひょっとすると、これ復活するかも!」早速、CD研磨専門店を探し出してくれました。数週間後、キズが癒えたCDを受け取ります。家族は襟を正し、再生。
聴こえてきたのはビートルズのあの名曲、♪BLACK BIRD。それもHugeアレンジで。CDは見事に甦ったのでした。
叔父は帰省する度、幼いHugeにいろいろな曲をギター弾き語りで聴かせてくれていました。
「刻んでるこのリズム、ポールじゃなくてオレのだ!」目を潤ませている叔父がいました。
一方、Al HaigのLPには20数年たった今も、半径rを図示するかのように一本の線がくっきりと彫られています。
「ある意味、家宝かな」と父親ポツリ。