memoirs
 「Hugeに繋がる情景」と題し、Hugeにまつわるエピソードを彼の言葉を織り交ぜながら少しずつスケッチしていきたいと思います。
 Scenes linked to Huge -track30-■華麗で、ダイナミックで、クールで、しなやかで、、、

ダンサーの手配がつかず、ダンスコーナーをコンサートプログラムからはずすという最悪の事態も覚悟しました。プログラム原稿を印刷に回さなければならないタイムリミットは刻一刻と迫っていました。さぁ、どうする。

女神は私を見捨てませんでした。

静岡市を拠点にダンススクール・grand-Gee-groovy(グランド・ジー・グルービー)を主宰している小川さんがHuge First Concert への出演依頼を快諾して下さったのでした。

「本番まで時間の猶予がありません」と小川さん。
音楽配信サイト「muzie」(Hugeが他界する直前、自ら登録)から2曲を選び、ダウンロードしてもらいました。すぐさま、振り付け作業、レッスンに。

そして、コンサート当日。

プログラム-Huge meets his dances.
スモークが焚かれたステージには、黒のシルクハットに黒のタキシードの4人の女神たちが凛とした姿で立っていました。

この日のために特別編成されたダンスユニット「grand-Gee-groovy」。♪TRANSFIX(R&B/2STEP)と♪You Are Chicken(BREAKBEATS)のメドレー。華麗で、ダイナミックで、クールで、しなやかで、、、なんと形容していいのでしょうか!
パフォーマンスが終わると、700名が詰めかけた会場からは万雷の拍手が轟きました。私は客席で拳を握り締め、思わずガッツポーズ。
踊ってもいないのに、ふくらはぎがパンパン。


後日、改めてお礼を申し上げるため稽古場に伺いました。
「また何かあれば声をかけて下さいね」と小川さん。
grand-Gee-groovyの皆さんに、セカンドコンサートへの出演依頼ができる日を楽しみにしております。


高校時代はこれでも'discoqueen'。昔とったキネヅカ。
今なら、
まだ、
間に合う。
Hugeの曲で踊りたい!

でも、

「ダンススクールに入門したい」とは家人になかなか言い出せないでいます。


※♪TRANSFIXはアルバムLEGEND OF ZEPHYRに収録されています。

2006.08.05.
 Scenes linked to Huge -track29-■Huge NIGHT in Switzerland

開口一番、
「Huge NIGHT実現しました!」

先月、スイス在住のTEO君(memoirs-track21-)から電話がありました。
卒業生フェアウェルパーティー。会場はなんと砕石場。300名余りの若者たちが一同に集い、呑めや踊れやの一夜。切り出された20メートル四方もの岩肌をスクリーンに、映像ギラギラの、音楽ガンガンの、、、
Huge NIGHTかぁ。
音楽担当はTEO君で、DJも兼務したとのこと。

パーティーのクライマックスはTEO&Hugeのテクノユニット「Human Plugin」のテーマ♪Human Pluginが会場に流れ出したときに。それまで成り行きを静観していたTEO君の担当教授であり、世界的に著名な建築家は身を乗り出し、乱舞する学生たちの輪に加わったそうです。
Huge NIGHTかぁ。

2006.07.30.
 Scenes linked to Huge -track28-■指南書Part2

「気鋭のクリエイターHuge急逝」の見出し。

キーボード・マガジン2003年10月号、News Boxコーナーでの追悼文で、若手リミキサーの扱いとしては異例のことでした。
アレンジ・コンテストで最優秀賞を頂いた折、Hugeへのインタヴューを担当して下さった編集部S氏のご厚意によるものでした。

記事では櫻井 翔主演ドラマ「よい子の味方」の主題歌にもなったRuppina-♪violet flowをピックアップし、「工藤舞を中心とするRuppinaのviolet flowに収録されたHuge Remixは、シンセ音が張り巡らされ、歌声もよく生かされた完成度の高い作品。」と評価して下さいました。


仕事部屋に残されていた一枚のスナップ。敬愛していた音楽プロデューサーRodney Jerkins氏とのツーショット。氏が表紙を飾る音楽誌サウンドレコーディングを傍らに、顎に手を添え、氏を気取るHugeが写っていました。

Hugeがまだ高校生だった頃、「いつ、表紙になるの?」と冗談混じりに尋ねると、
『そのうちにね』

そう笑いながら答えたHugeの眼差しは、真剣でした。

2006.07.21.
 Scenes linked to Huge -track27-■指南書

ダンボール箱の中から漫画習作ノートが何冊も出てきました。シュールな4コマ連作集。
中学生当時、本人は腹を抱え、笑い転げながら描いていました。結局、私にはその笑いのつぼが皆目わかりませんでした。奇想天外な展開と結末。愛読書は当然のことながらコミック雑誌で特に「少年ジャンプ」がお気に入りでした。シーケンサQY20で打ちこんだドラゴンボールのテーマ。時が経ちヨレヨレになった録音テープは我が家ではお宝です。

マンガ卒業後は音楽にのめり込んでいきます。愛読書はキーボードマガジンとサウンドレコーディングに。英語とカタカナが混じる難解な専門用語が並ぶページを穴があくほど熟読し、さまざまな技法、裏ワザを習得していきます。2冊の指南書はHugeにとって言わばバイブルでした。肌身離さず、眠るときも枕元に。

高校在学中にデモテープを投稿し、「QY300でここまではすごい」と褒められ、その気になります。進学後、キーボードマガジン・アレンジ・コンテスト2001(♪AGAIN:作詞/作曲 葛谷葉子)のアレンジでMVPを受賞します。

「この音にしてなんと19歳。本当に驚かされると同時に、音楽に明るい未来を感じました。この才能をもっともっと磨いて伸ばしていってほしいですね」と葛谷氏より絶賛され益々気を良くしていきます。キーボードマガジン2001年6月号(受賞作品が収録されたCDが付録)にはHugeの受賞インタヴュー記事が掲載されています。音楽の好みについて訊かれ、『作るトラックはしっとり系だけでなく、バキバキの4つ打ちものなどいろいろやっています』

バックナンバーをB**K OFFに持っていこうとしているあなた!今一度ご確認を。レアものです。

2006.07.14.
 Scenes linked to Huge -track26-■UR-Chin mix

まさしくHugeからの「サプライズ」でした。


その日はHuge22歳の誕生日。偶然にも百箇日法要の日でした。墓参からの帰途、友人Kさんが運転する車で国道を走っていました。助手席にいた夫の挙動に不審有り。急にソワソワしだし、何を思ったかいきなりカーラジオのボリュームをマックスに上げました。そして後部座席にいる私たち(その日は37さんが東京から駆けつけてくれていました)を振り返り、「この曲って!?」
「・・・」

『ベートーベンからちょっと拝借しました』とHugeは言っていました。

dad-dad-dad-dahn! dad-dad-dad-dahn! 浜崎さんの力強い歌声が聞えてきました。

-もう二度とはぐれてしまわぬ様にと...- 歌声が続いています。唖然としている私たち。
「えっ!? ウソ!? まさか!」
後部座席で私たちは手を取り合い、泣き顔とも笑い顔ともつかない表情で、泣き声とも笑い声ともつかない奇妙な声を出しています。肩を震わせている助手席。Kさんは一体何事かといぶかしげです。

地元FM局、K-MIXの番組でした。リミックス作品がオンエアーされることはまずないだろうと、だめもとで一ヶ月程前にリクエストはがきを出していました。
選りによってその日に。普段、日中のこの時間帯にラジオを聞くことがない私たちに、ピンポイントで聴かせてくれたとは。

「いたずらっ子」という意味の-urchin-と本名の一部を掛けたリミックス名を付与された曲、♪UNINE!Huge UR-Chin mixは私のイチオシのリミックス作品です。作品中の歌詞にもちょっとしたいたずらを仕掛けています。



※文中の歌詞は浜崎あゆみ-UNITE!より引用
※K-MIXにはファーストコンサートの折に後援をいただき、コンサート告知に協力していただきました。

2006.07.06.
 Scenes linked to Huge -track25-■united efforts

Hugeが高校時代に作ったその曲を「吹奏楽」で聴きたいという私たちの願いが叶えられようとしていました。

オーケストラピットがライトによって浮き上がって見えます。そこには総勢60名の若者たちがいました。
Hugeの母校、富士宮西高等学校の吹奏楽部の面々です。背後のステージにはHuge愛用のパソコンとシンセサイザーがスポットライトを浴びています。私は固唾を飲んでステージを見据えています。

デジタル音によるプレリュードが再生されました。一呼吸の静寂の後、ブラスバンドの力強い演奏がホールに響き渡りました。デジタルとアナログが見事に融合した瞬間でした。

2004年12月26日。富士ロゼシアター。Huge First Concert in Fujiのプログラム-Huge meets a brass-bandでのことでした。


その曲♪united effortsには楽譜はなく、音源データも残されていませんでした。CD音源をたよりに一つ一つ音を拾い集め、楽譜におこし、吹奏楽用に編曲してくれたのは地元吹奏楽団の常任指揮者をされている遠藤聡さんでした。西高吹奏楽部の演奏指導もされている音楽家です。

Hugeは大学進学後も帰省するたびに遠藤さんが勤務する楽器店に足繁く通っていました。遠藤さんや同僚の矢邊さんにはパソコン音楽のレクチャーを受けていたようで、お二人にはとてもお世話になっていました。
「ハルチカのために」と私たちの無謀なリクエストに応えてくれたのでした。


躍動感溢れる素晴らしい演奏が終わると、ホールを埋め尽くした700名の観客から割れんばかりの拍手が沸き起こっていました。

あの時の感動は今なお私たちの胸の中にあります。富士宮西高等学校吹奏楽部の部員の皆様、ありがとうございました。当時の中心メンバーはこの春に御卒業され、それぞれの道を歩んでいらっしゃいます。皆様の益々の御活躍をお祈りしております。

2006.06.25.
 Scenes linked to Huge -track24-■Huge

アーティスト名をHuge(巨大な)と自ら命名します。14歳夏のことでした。

そう言えば、幼稚園時代、私の郷里大阪では「頭デカイ、声デカイ、態度デカイ。三拍子揃ってるやんか!」とまわりの人達からお褒め?にあずかりました。

オリジナル曲♪SOUTHERN CROSS(南十字星)では『Huge!Don't stop!』と連呼し、自らを鼓舞しています。
三年が経とうとしている今でも、その肉声が聞えてくると、私は思わず肩越しに背後を確かめてしまいます。

ある時、アーティスト名Hugeの由来を照れながら教えてくれました。
『Halchica Urushibata Gains Ends.』
「どういう意味なの?」

『漆畑 玄周は目標を達成する』

2006.06.16.
 Scenes linked to Huge -track23-■納涼

夏、真っ盛り。
ベランダを隔てて離れにあるHUGE.STUDIOでは、壁掛け式の扇風機がカクカクと音を立てながら首を振っています。フルスピードでファンは回転しています。各種機材からは熱が発散し、スタジオ内はサウナ状態。過酷な条件の下、Hugeは汗だくになりながらシンセサイザーに向かっています。スピーカーからは音切れのいい「クール」なリズムが叩き出されています。
スタジオには空調設備は一応あるにはありますが、Hugeはクーラーを使いません。地球環境に優しい省エネライフとは聞えはいいのですが、正しくは「使えない」のです。
家屋全体に許されている供給電力量の問題でした。

油断するとブレーカーが落ちます。ある時はテレビを付けた瞬間。ある時は洗濯機のスイッチを入れた瞬間。トイレの電灯ひとつつけるにも家族は細心の注意を払っています。暑いような涼しいような。まるで「クロヒゲ危機一発」をやっている気分でした。

その夜、ブレーカーが落ちました。家全体が漆黒の闇に。その夏、二度目のパワーカットでした。
『だれ?!』

私たちは5人家族。容疑者の確率は1/5。娘二人はもう寝ています。Hugeにはアリバイがあります。え、ワタシ?

母屋の仕事場にいる父親がクーラーの設定温度を1℃下げていたのでした。


『あのフレーズ、もう出てこないよ』不機嫌なHuge。
「ああゆう時って、プラグドは弱いよなぁ」反省の色が見えない父親。
『・・・』
「電気の通っていない無人島にでも行ったらどうやっておまえ、曲作んの?」
『無人島、行かないし!』

私の記憶によると、その夏、Hugeは3曲ほどオリジナルを「フリーズ」させています。
不可抗力の停電で、熱帯夜にもかかわらず、暑いような涼しいような。
これってクールビズ?

2006.06.09.
 Scenes linked to Huge -track22-■翼のあるオーディエンス

『ねぇ、何かいるんだけど。屋根裏』
そう言われてHUGE.STUDIO(Hugeの実家での仕事部屋兼寝室)に足を踏み入れると、確かに屋根裏で不気味な物音。それも大胆不敵な音。コソコソしていません。
ネズミ?巨大蜘蛛?スズメバチ?耳を澄ますと聞えてきました。パタパタと這う音。どうやら翼をもっているらしい。鳩?猛禽類?
一匹ではありません。でも鳴き声はしません。

ある日の夕刻。赤く染まる窓に影が映りました。鳥類ではない不規則な飛翔パターン。その影たちが次々と我が家の雨戸の戸袋に侵入していきます。
一体何者?

闖入者の正体がわかりました。
天井から頭を下にして、悠長に宙吊りになっています。目が合いました。図鑑では見たことがありました。私は臆せず果敢に宣戦布告。(「イキモノ」に強いのは我が家では何故か私)釣り用の網を利用し、ついに捕獲。アンド・リリース。

HUGE.STUDIOはいつしか「ドラキュラ伯爵の館」と化していたのです。
一体何故?

真相はHuge愛用のシンセサイザーにありました。人間の耳には聞えない周波数をもつデジタル音に誘われ、彼らは群れをなして屋根裏に集っていたのです。

日毎にHugeの「オーディエンス」は増えていきます。十数匹(羽)?私は蝙蝠(コウモリ)の数え方を知りません。
退治もせず、当り障りのない付き合いが続きます。

「今日も大入りだね」と私。
さすがに餌付けはしませんが、「蝙蝠使い」となったHuge。パタパタ。パタパタ。彼らは屋根裏で踊っています。薄気味悪いけど楽しい。

しかし、残念ながら?Hugeが進学で家を出る時期を境に彼らの姿も消えました。


「そっちに、行った?」
『まさか!!』

どうやら蝙蝠にはワタリの習性はなかったようです。

2006.06.02.
 Scenes linked to Huge -track21-■国際電話

時差も考えずに、国際電話をかけました。
「pronto!(もしもし)」流暢なイタリア語が聞えてきました。Huge音大時代の畏友、TEO君です。短い間でしたがHugeとテクノユニット(Human Plugin)を組んでいました。Hugeの♪SUNDAY MORNINGを東京FMでの5.1チャンネル特別番組のために編集してくれました。(track3)

TEO君は現在、イタリア国境近くのスイスの大学で建築学を専攻しています。目に見えない「音による空間演出」を更に追求するため、「建築による空間演出」を学んでいます。

音楽理論にはまったく疎い私にHugeの音の構成をわかりやすく説明してくれました。
窓からの陽の光が時の経過と共に角度を変えて差し込んでくる。その様子がHugeの音楽には描かれていると。
「大学近くのクラブでHugeの曲だけでイベントを開きたい」とも言ってくれました。(TEO君のおかげでスイスの学生街にもHugeファンは着々と増えているようです)

Huge NIGHTかぁ。

「Hugeをフロントでヨーロッパ進出のプロジェクトを立ち上げたばかりでした、、、」通夜の席で、Hugeがお世話になったレコード会社の方から聞かされていました。
アルプス山脈に抱かれたのどかな地で、いろいろな国々から集まった若者たちがグラス片手に「Huge」を聴きながら踊り、談笑する風景!!
私も留学したい。

TEO君は留学先では、外出するとき、椅子にHugeの写真を置き、音楽用パソコンをHugeに貸し出してくれているとのことでした。

受話器を置きました。家族に言われました。「国際電話だからといって、そんな大声で話さなくても、、、」

2006.05.26.
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